引用:はてな「ソニー、管理職比率を2割に半減 新人事賃金制度が始動 年功要素を完全に撤廃 :日本経済新聞」
日本を代表するメーカー「ソニー」ですが、エレクトロニクス部門を主体とする本体会社単体では、実は08年度から経常赤字が続いています。エンターテインメントや金融関連の子会社の業績が良く、連結としては利益が出ているため、それほど思い切った改善策がなされていないのが現状でした。
ですが「高齢化による逆ピラミッド型の人員構造」「管理職比率4割以上」という特徴・傾向が進んでいる中で、経営層の危機意識は高まり、今回思いきった施策が発表されました。
思い切った賃金制度改革
派遣社員が多いのかもしれませんが、管理職が4割という多さには驚きです。また、もともと管理職に昇格すると降格する仕組みがなく、部署移動によって「部下なし管理職」も増えていたそうです。このような中で今回ソニーが打ち出した人事賃金制度改革はこれです。
・管理職の比率を現状の4割→2割に半減する ・年功要素をなくし、役割によって評価する
これによって、全体としての賃金コストを抑えることの他にも、管理職を2割に減らすことで重要な意思決定にかかわるメンバーを減らし、意思決定スピードも上げて社内活性化につなげられるという効果もありそうです。
制度設計以上に重要な“スムーズな実行策”
全体として多くの管理職が降格し、賃金が下がることで、「社員の反発心」や「モチベーション低下」を招く可能性は避けられないでしょう。重要なことはそういった面に対して、会社がどうフォローして、人の心を動かし、モチベートできるかどうかだと思います。今回の記事から分かる策としては、
・「頑張った人は評価される」透明性のある仕組み ・経営陣が社員に対して、希望あるビジョンやモチベートするメッセージを直接発信 ・希望の部署に異動しやすくなる社内募集制度
等が挙げられていました。これらのソフト面は会社の文化や社員一人一人にとってさまざまなので難易度の高い課題でもあります。
このような場面では、普段から会社として社員の意思統一・ベクトル合わせができていたかどうかが問われる時だと思います。普段からトップと現場社員との間で何らかの形でコミュニケーションが行われ、思いの共有がされていれば、今回のような改革は比較的スムーズにいくでしょう。
大企業であるほどトップから末端社員までの距離が長い為、大きな挑戦であることは言うまでもありません。記事では語られていない現場の具体的な実行施策が気になるところです。
ソニー賃金制度改革から考える、“平常時”の大切さ
結局のところ企業活動も社内制度改革も、それらを担うのは全て心の通った人間です。大きな決断や改革を進める際は関係者が納得して進められることが必須だと思います。メンバーのベクトルがバラバラでは、一人一人が強いパワーを持っていてもギスギスした空気になるだけで、建設的に物事が進むことは難しいですが、一人一人のパワーがそれほど強くなくとも、ベクトルさえ一致していれば皆で同じ方向を向いて耐え忍びながらもなんとかやっていけるものだと思います。
それはお客様と自分(担当者)との関係でも、家族関係でも全てに言えることだと思いますが、今回のような改革時に対処できる環境・文化をつくるためにも、「普段からのコミュニーション」が活発であるように整えておきたいものです。
以上、ソニー賃金制度改革から考える、“平常時”の大切さについてでした。