記事トレ!日経新聞で鍛えるビジュアル思考力
板橋悟著/日本経済新聞出版社
本書のタイトルからも想像できるように、この本は日経新聞を使ったトレーニング方法について書かれた本でした。
著者が、ある5人の社長から教わった日経新聞の読み方のポイントを元に、自分なりに改良を加えるなかで作り上げた読み方ノウハウについて紹介されています。
目的
本書では、このメソッドによって磨ける力・得られる効果について次のように書かれています。
世の中にある多くのビジネスモデルを理解し、それを仕事に活用できるようになるのです。それだけでなく、必要とあれば新しいビジネスモデルを次々と考えだすことさえ可能になるでしょう。それも、ごく短期間に!
一言で言うと「ビジネスモデル発想力」を鍛えられる、
又は「儲かるかどうかを嗅ぎ分ける力」を磨ける、と言えるかもしれません。
どんなトレーニングで発想センスを磨くのか
「ビジネスの基本は交換である」と本書では説かれています。大昔であればモノとモノ、今であれば、モノ(サービス)とお金、ということになります。
記事を読むときに「誰が、誰に、何を、いくらで提供」という4つのポイントを押さることをキモとしており、[誰が⇔誰に]と[モノ⇔いくらで]の組み合わせを捉えて、まずはその関係性(ビジネスモデル)を誰でもわかるような方法で図示(ピクト図解)します。
その上で「いくら、という要素が記事ではあいまいだけど実際はいくらだろう?」とか「誰に、という相手(ターゲット)を変えれば別の業界でもビジネスを横展開できそう」とか「無料提供、とあるけど裏側ではどんな仕組みで利益につなげているのか?」等と興味発想を広げていくことで、ビジネスモデルへの理解力と発想力を伸ばしていこうというものです。
また、何度も地道に「読む→図解で表す→そこから考える」を繰り返すことで自分の中に基本的なビジネスモデルがパターン認識として積み重なり、新しい記事を読むときにビジネス全体が理解しやすくなったり、自分でビジネスを考える際に役立ったりする、というものです。
本書が役立ちそうな読者
自分自身のビジネスモデル発想力が鍛えられていくような読み方を紹介する本ですので、「会社で購読を求められているので一応読んでいるけど、イマイチ読み方がつかめていない。何か自分の中で蓄積されているような読み方を覚えたい」という人にはぴったりだと思います。
それなりに頭を使いながらやる必要はありそうですが、本書に従ってトレーニングすることで、日経新聞にあたる際の、読み方の癖や型のようなものを身に付くと思いますが、一旦身についてしまえば、その思考回路は新聞に限らず、ニュースでもなんでも「誰が誰に何をいくらで」という構図が自然にイメージできるようになり、理解が早まるかなりのアドバンテージになりそうです。